2025

10/30

Thu

抗がん剤治療の「ウォッシュアウト」ってナニ?

抗がん剤は体内でがん細胞に作用した後、最終的には体外へ排出される必要があります。

その過程を、俗に「ウォッシュアウト」と呼びます。

簡単に言えばからだの中で“お薬をおそうじ”する時間です

抗がん剤は、がん細胞をやっつけるお薬ですが、

体の中にしばらく残り、肝臓や腎臓がゆっくりと分解・排出してくれます。

この期間を「ウォッシュアウト(wash out)」と呼びます。

🔬 メカニズム(肝臓による解毒の流れ)

 抗がん剤の代謝:第一段階反応

抗がん剤が血液を通って肝臓に運ばれると、肝細胞内で「薬物代謝酵素(主にCYP450)」によって化学構造が変化します。

これは「酸化・還元・加水分解」などの反応で、

→ 薬剤を“処理しやすい形”に変える工程です。

📘例)

・シクロホスファミドなどは肝臓で活性化代謝を経て効果を発揮

・パクリタキセルやドキソルビシンなどは肝臓で不活性化代謝されて排出

 抱合反応:第二段階反応

第一段階で変化した薬剤は、次に「抱合酵素(UGT・GSTなど)」の働きで

グルクロン酸・硫酸・グルタチオンなどと結合します。

→ これにより、**水に溶けやすい(水溶性)**形になり、

体外に排出しやすくなります。

 胆汁や尿として排出

抱合された抗がん剤代謝物は、

• 胆汁に混じって腸へ(→便として排出)

• 血液を通じて腎臓へ(→尿として排出)

この一連の流れが「ウォッシュアウト=排出期間」です。

🕰 ウォッシュアウト期間の目安

抗がん剤の種類・量・個人の代謝力により差がありますが、

一般的には以下のように考えられています:

1〜2週間:血中濃度が大きく低下

3〜4週間:体内の多くが代謝・排出される

→ そのため、抗がん剤治療は「3〜4週ごとのサイクル」で行われることが多いのです。

💡 美容室が対応するべきポイント

1. 肝臓・腎臓への負担が大きい時期は、

 身体が“化学的な疲労状態”にあります。

 → カラー・パーマなどは治療直後を避けることが望ましい。

2. 毛髪・頭皮・爪も代謝産物の影響を受けやすく、

 ウォッシュアウト中は特に敏感・乾燥・炎症が起きやすい。

3. ウォッシュアウト後は、

 栄養補給・血流促進・幹細胞培養上清液などで

 “再生のサポート”を行う絶好のタイミング。

🌱 補足:肝臓をサポートする栄養素

ウォッシュアウトをスムーズにするためには、

肝臓の解毒酵素を助ける栄養が重要です。

機能栄養素・食品例
酵素の働きを助けるビタミンB群(レバー、卵、玄米)
抱合反応を促すグルタチオン(ブロッコリー、アボカド)
抗酸化ビタミンC・E(柑橘類、ナッツ)
肝機能の保護シジミ、ウコン、タウリン

当店では、抗がん剤治療直後の強い癖「ケモカール」を矯正したいというお客様からのご要望が多数あります。そのような方にはトリートメントで伸ばす矯正の「メタバーサル矯正」がおススメです。

このお客様なように大体1年から1年半で根本が本来の髪質に戻ります。

お気軽にお問い合わせくださいね。

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菅 正彰(すが まさあき) について

美容師 ビューティープロカウンセラー

2006年 京都・二条に美容室visagelocaを出店。美容師歴は30年以上
「美容」✖ 「健康」✖ 「医療WIG」さらに最近では「再生医療」の会社とタッグを組み
お客様のさまざまな深い『お悩み』の改善を本気でサポート出来るメニューを吟味して提供をしています。
特に「カラーアレルギー」の対応や「抗がん剤治療中」でWIGを必要とする方々の「駆け込み寺」的なサロンにもなっています。
メニューの中でも、「ノンジアミンカラー」は特に人気で、遠方からもわざわざカラーをされにご来店されています。
栄養学の先生との出会いをきっかけに10年以上学び続け、その知識からアレルギーなどに対応できるようになりました。
現在では美容師専門の栄養学『BPC』ビューティープロカウンセラーを栄養学の先生と共に運営しています。
このブログでは、様々なお悩みを「現場の声」と共に『対応レポート』という形で同じお悩みの方の参考となるようなブログを発信していきます。