ジアミンアレルギー顔や瞼に出るのはなぜ?
なぜ顔周り(まぶた)などに症状が出るのか?

ヘアカラーによる肌トラブルとして「顔周りだけ赤くなる・かゆくなる」といった相談は非常に多く聞かれます。ジアミンアレルギーというと一般的には頭皮や生え際に出やすいと思われがちですが、顔の皮膚に限定して反応が出るケースも少なくありません。
では、どうして“顔だけ”に症状が出るのでしょうか。その理由を整理してみます。
出やすい部位としての「顔周り」の特性
1. 色剤の接触度が高い
顔と髪の境界線(おでこ、生え際、もみあげ、前髪・後れ毛など)は、カラー剤が塗布される際や洗い流すときに薬剤が付着しやすい場所です。垂れやすさや毛の流れから、顔の皮膚に残留しやすいという物理的な側面があります。
2. 皮膚の薄さと感受性
顔の皮膚(特にもみあげ付近、おでこ、まぶた周りなど)は比較的薄く、バリア機能が弱い部分も多いため、刺激物やアレルゲンの影響を受けやすいと考えられます。
3. 流れ落ち・飛散・圧接触などの要因
薬剤が頭皮から流れてきて顔に付着したり、すすぎの水が飛んでくる、あるいは手で塗る際に指先を介して顔に接触したりという“間接的な接触”経路も無視できません。
4. アレルギー反応の局所性
ジアミンアレルギー(接触性皮膚炎/アレルギー性接触皮膚炎)は、アレルゲンが当たった場所を中心にてきめんに反応を起こす傾向があります。つまり、顔の皮膚がちょうどアレルゲンにさらされやすい条件下にあれば、顔だけに反応が出る可能性があります。
こうした理由から、「顔だけ」に症状が出るケースは決して珍しくないといえます。実際、渡邉氏のコラムでも「生え際・顔周りだけの刺激が気になる」というタイトルで、まさにこの現象を扱っています。
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顔だけに出るジアミンアレルギーの見分け方・注意すべきポイント
顔だけに反応が出ると、「化粧品のせい?」「日焼け?」「乾燥?」など別の原因が疑われがちです。しかし、以下のポイントを押さえることでジアミンアレルギーの可能性を高めて見極める手がかりになります。
チェックすべきポイント
察項目 | 見られる傾向 | 解釈のヒント |
発症タイミング | ヘアカラーをした直後~48時間以内に顔にかゆみ・赤み・腫れ | ジアミンアレルギーは遅延型反応(接触後時間をおいて出ることも多い)という性質もあるため、即時だけで考えないことが大切です |
再現性 | 同じカラー剤・条件で繰り返し顔に症状が出る | 一度症状が出た条件を記録しておき、再現性を見ることが診断の手掛かりになります |
部位の限定性 | 頬、額、生え際、まぶた、もみあげなどの顔周りに集中 | 頭髪全体や体に広がらず顔だけという限定的なケースは、「顔まわりだけ」への接触または皮膚の弱さが関係している可能性 |
他の要因排除 | 化粧品、日焼け、ストレス、薬など他のアレルギー要因との整合性はどうか? | あくまで顔だけに出るならば複合要因も視野に入れる必要があります |
また、美容院や皮膚科で行う「パッチテスト(付着試験)」が確定診断につながります。
当店でも対応いたしております。
気になる場合にはお気軽にお問い合わせください。


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顔だけ出る場合の対応・予防策
顔だけに反応が出る場合、特に気をつけたいこと・実践すべきことを段階的に見ていきましょう。
応急対応(症状が出たとき)
1. 使用中止・洗浄
カラー剤使用をすぐに停止し、顔や髪を刺激の少ないぬるま湯でやさしく洗い流します(ただし顔にはこすらず、シャワーで流す・軟らかいタオルで押さえるように拭くなど)。
2. 冷却・鎮静
冷たいタオルや冷水でやさしく冷やすことで、血管収縮・炎症抑制が期待されます。
3. 皮膚科受診
赤み・腫れ・かゆみが強い、まぶたが腫れて視界に影響が出る、症状が長引く場合はなるべく早く専門医を受診しましょう。重症化するとまれに呼吸困難などのアレルギー全身症状(アナフィラキシー的反応)を引き起こすリスクも否定できません。
予防・対策
1. ノンジアミンカラーへの切替
ジアミンを使わない「ノンジアミンカラー」への移行がもっとも有効な対策です(渡邉氏の記事でも推奨されています)。
ただし、ノンジアミンであっても他成分で反応が出る可能性はあるため、毎回パッチテストを行うことが望ましいです。
2. ゼロテク(頭皮接触回避技術)や保護オイルの活用
薬剤を顔や生え際に直接触れさせない技術(ゼロテク)や、保護膜を作るオイル・バリア剤を使用する方法も、有効な補助策になります。
3. 薬剤の性質を考慮して選ぶ
過酸化水素・アルカリ剤濃度が低い製品や、刺激の少ない処方を選ぶことが、顔周りへの刺激を軽減する可能性があります。
4. 塗布時・洗い流し時の注意
・顔周り・生え際にはまずワセリンなどでバリアを作る
・薬剤はできるだけ頭皮から離して塗る
・すすぎは薬剤残留を残さないよう時間をかけて行う
・髪が顔に触れないようにタオルやバンドで抑える
5. 間隔を空ける/頻度を調整する
頻繁に染める習慣があると、その都度皮膚に負荷をかけてしまいます。可能であれば染める頻度を抑えることも検討しましょう。
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締めくくりに:顔だけ出るジアミンアレルギーへの心構え
顔にだけ反応が出ると、「まさかヘアカラーのせい?」と疑いづらい面があります。しかし、薬剤の接触条件、皮膚感受性、流れ・飛散経路などを総合的に見れば、十分に合理的な説明がつきます。
大切なのは、症状を軽んじず、専門家に相談すること。そして、可能な範囲で安全な代替手段を取り入れながら、カラーを楽しむ道を探ることです。
