2025

10/09

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ジアミンアレルギー、全身に出る場合の理由とは?

ヘアカラーをした後、「頭皮がかゆい」「耳が赤い」などの違和感を感じたことがある方は多いでしょう。一般的にはそれらがジアミンアレルギー(酸化染料アレルギー)の初期症状と考えられます。しかし、驚くべきことに、ジアミンアレルギーは 頭皮に塗布したものとは一見関係のない部位 ― 胸、背中、足など ― にまで反応を及ぼすことがあります。この記事では、「なぜ全身に出るのか」「どんな症状があるか」「すぐにできる対応と、今後の対策」を整理してご紹介します。

全身に症状が出る主な理由

以下のようなメカニズムや状況が重なって、ジアミンアレルギーが局所を超えて広がることがあります。

原因内容
残留ジアミンの拡散ヘアカラー後、シャンプーしても髪に微量のジアミン成分が残ることがあります。それが汗や水流とともに体表へ垂れたり、濡れた髪が肌に触れることで、頭部以外の皮膚にも反応を誘発することがあります。
強いアレルギー反応体質そもそもアレルギー体質が強く、少量の刺激でも過敏に反応し、局所反応を起点に免疫反応が全身に波及することがあります。
薬剤の直接付着セルフカラー(自宅で染める際)やケア時の不注意で、胸や背中、足などにカラー薬剤・薬液が付着してしまうことがあります。これは意外と見落とされがちですが、少しの付着でも強い反応を引き起こす可能性があります。
「遅延型」アレルギー反応ジアミンアレルギーは遅延型(接触後、数時間〜48時間以内に発症することが多い)です。初日は頭皮だけ軽いかゆみでも、翌日以降に全身に症状が拡大するケースがあります。


足・胸・背中に出やすい症状とは?

カラー剤が直接触れていないように感じる部位に、どのような反応が出るのか、主な症例を挙げておきます。

足の症状例

• 足首、足の甲、足の指の間に赤み・発疹・かゆみ

• 皮膚のヒリヒリ・ピリピリ感

• 湿疹・ただれ

→ 入浴時に髪から垂れた薬液が足に付着した、またはシャンプー時の泡などが移動した可能性があります  

胸(デコルテ、鎖骨周辺)の症状例

• 鎖骨〜胸元にかゆみ・ムズムズ感

• 小さなブツブツ(丘疹)、湿疹

• 熱感を伴う赤み

→ 特にロングヘアの方は濡れた髪が胸に触れることがあり、そこからジアミンが肌に移ることがあります  

背中の症状例

• 肩甲骨あたりのかゆみ・湿疹

• 広範囲の赤み・ただれ

• 水ぶくれ形成

→ 髪が背中に触れる状態やシャンプー後のすすぎ残し、薬剤落としきれなさなどが関与するケースが報告されています  

これらの症状が出ると、「乾燥」「汗疹(あせも)」などと誤判断して放置されがちですが、繰り返したり範囲が広がったりする場合は、ジアミンアレルギーを疑うべきサインです。

発症したら、まずこれをやろう — 応急処置と注意点

全身的な症状が出ているときこそ、冷静かつ迅速な対応が大切です。以下をまずチェック・実行しましょう。

1. ヘアカラー剤の使用を直ちに停止

 ジアミン含有の製品(白髪染め、ヘアカラー、パーマ液含む)をすぐに使わないようにします。これ以上刺激を加えないことが最優先です。  

2. 髪は濡らさず、体だけをシャワーで流す

 髪に残っているジアミン成分は、体を濡らすと垂れて拡散するリスクがあります。体さえ流すようにして、薬剤成分をできるだけ除去します。  

3. 皮膚科・アレルギー科の受診

 かゆみ・発疹が広がっていたり、水ぶくれ・痛み・熱感がある場合は、自己判断せず専門医にかかることが不可欠です。特に、呼吸困難、顔の腫れ、唇やのどのむくみなどがある場合は緊急性があります。  

4. 重篤な症状には救急対応を

 急激に症状が進み、じんましんが全身に出現したり、息苦しさ・意識変化などが出た場合はアナフィラキシーの疑いもあり、救急搬送が必要です。  

5. かき壊しに注意、冷却や鎮静を

 掻きむしると症状が悪化するため、冷たいガーゼや湿布などでやさしく冷やす、かゆみ止めを使うなどの対処も併用します。ただし市販薬はあくまで補助的とし、医師の指示を仰ぐことが前提です。  

6. 症状・使用履歴の記録を取る

 いつどの薬剤を使用したか、どの部位に出たか、時間経過などを記録しておくと、医師の診断に非常に有用です。


今後どうするか — 安全なヘアカラーの選択肢と予防策


一度ジアミンアレルギーを発症してしまうと、完全に治ることは難しいとされています。だからこそ、“次に使うものを慎重に選ぶ”ことが極めて重要です。以下のような方法・注意がポイントです。

ノンジアミン・低刺激カラーへの切り替え

ヘアマニキュア/酸性カラー:頭皮に直接薬剤をつけず、髪の表面のみをコーティングする方式。ジアミンを使わないものを選ぶ。

カラー用トリートメント/補色タイプ:少しずつ色を補う方式で、毎日のケアとして使えるもの。

天然ヘナ(ナチュラル):植物由来でジアミンを含まない純粋なヘナ。ただし、混合ヘナ(インディゴを混ぜたものなど)には注意が必要です。

脱色+ノンジアミン染料併用:理想の明るさを出したい場合には、美容院での施術の中で、脱色後にジアミンを使わない染料を使うアプローチもあります。

ただし、ノンジアミン系であっても 毎回パッチテスト を行うことは必須です。体調や皮膚の状態は日々変化します。「前は大丈夫だった」からと安心せず、必ず試すべきです。

予防・リスク軽減の注意点

• ヘアカラーをする日は、肌の状態(乾燥・炎症・傷)がないか事前に確認する

• カラー直後の入浴や温浴は控える(薬剤が残っている可能性)

• すすぎ・洗い流しを十分に行う

• 髪を体に触れさせないように配慮(ロングヘアならまとめる、ケープやタオルを使う)

• 敏感肌・アトピーの既往がある方は、最初から慎重に選ぶ

• 体調不良や疲れがあるときはカラーを控える

まとめ:広がる可能性を知り、自衛できる選択を

ジアミンアレルギーは、単に「頭皮のかゆみ」で終わるものばかりではありません。足・胸・背中など、一見無関係に思える部位にかゆみ・発疹・ただれなどの症状をもたらすことがあります。特に、症状範囲が広がる・繰り返すようになった場合は、すぐに専門医を受診することが大切です。

そして、今後もヘアカラーを楽しみたいなら、安全性を最優先に選ぶこと。「安易な継続使用」ではなく、「確実に安全な選択肢」へと目を向けていく姿勢が、肌と体を守るために欠かせません。

お気軽にお問い合わせくださいね。

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菅 正彰(すが まさあき) について

美容師 ビューティープロカウンセラー

2006年 京都・二条に美容室visagelocaを出店。美容師歴は30年以上
「美容」✖ 「健康」✖ 「医療WIG」さらに最近では「再生医療」の会社とタッグを組み
お客様のさまざまな深い『お悩み』の改善を本気でサポート出来るメニューを吟味して提供をしています。
特に「カラーアレルギー」の対応や「抗がん剤治療中」でWIGを必要とする方々の「駆け込み寺」的なサロンにもなっています。
メニューの中でも、「ノンジアミンカラー」は特に人気で、遠方からもわざわざカラーをされにご来店されています。
栄養学の先生との出会いをきっかけに10年以上学び続け、その知識からアレルギーなどに対応できるようになりました。
現在では美容師専門の栄養学『BPC』ビューティープロカウンセラーを栄養学の先生と共に運営しています。
このブログでは、様々なお悩みを「現場の声」と共に『対応レポート』という形で同じお悩みの方の参考となるようなブログを発信していきます。