【坂本・石積みの町に息づく職人の誇り】
今、近所の坂本の町では、道路拡張工事が進められています。
一見、ただのインフラ整備に見えるこの風景の中に、実は「伝統を未来へつなぐ」大切な作業が隠れています。

坂本は、古くから**“石積みの町”として知られています。
比叡山延暦寺の門前町として栄え、寺院や里坊(さとぼう)を支える美しい石垣が街並みに溶け込んでいます。
この独特の「穴太衆(あのうしゅう)積み」と呼ばれる石積み技法は、400年以上も前から受け継がれてきたもの。

自然石をそのまま活かし、石と石の“呼吸”を合わせるように組み上げる――その技術は、まさに日本の職人文化の原点**です。
今回の工事では、石一つひとつに番号が振られ、元の位置を記録しながら慎重に取り扱われています。
一時的に解体される石垣も、また元の姿に戻るために“休息”しているのです。
それは単なる修復ではなく、「過去と未来をつなぐ再構築」。

現代の技術と古来の知恵が、静かに手を取り合う瞬間です。
この町に暮らす自分にとって、石垣は風景の一部であり、心の風景でもあります。
季節ごとに表情を変える石の肌、苔むす緑、そしてその背景に流れる歴史。
どれもが、坂本という土地の“記憶”を語り続けています。
これから新しい道ができても、
この石たちが見守る坂本の景色は、きっと変わらず美しくあり続けるでしょう。
「伝統を守る」ということは、止まることではなく、“共に進む”こと。
坂本の石積みは、今も静かにそのことを教えてくれます。是非、また比叡山にお越しの際は散策してみて下さいね。^_^